Step into the groove!

及川光博さんの楽曲を語ります。

3. Q.I.D.

こんにちは、ヴェルデです。

 

ひとつ、とっても悔しいことがあります。

ミッチーさんのお誕生日お祝い記事を書けなかったことです。(泣)

そうなんです。去りし10月24日は、ミッチーさんの52歳のお誕生日でした。\みえな〜い/

及川光博、52歳を巨大ケーキで祝われ「“ミッチー街道”突き進んでいきたい」 : スポーツ報知

(無邪気な子ども*1のような表情のお写真が載っていますので、よろしければ……)

ブログを書かないで何してたかというと、本人さえ「苦行」と称した25時間ニコニコ生放送(※本人の生出演はありません) *2を見ていました。……見ながらブログ書けるじゃん、と思ったあなた、その通りです。その通りなんですが、あろうことか私は絵を描いていました……。お祝いイラストも描きたかったんです。完成品をここにバーンと載せたい気持ちはやまやまですが、私のツイッターのアカウントがばれるとだいぶまずいので(わたしが)、申し訳ありませんが省略させていただきます。スミマセン。

 

がしかし、まだもうひとつ、お祝いできることがありますので、ギリギリそちらをお祝いさせてください。

なんと本日先日*310月27日、及川光博ワンマンショーツアー2021「SOUL TRAVELER」Blu-ray / DVD発売されました!!!!

いわゆる「円盤」というやつですね!

こちら、4月から7月まで開催されたツアーのうち、6月19日に埼玉の大宮ソニックシティで行われた公演を収録したもので、実は8月にはフジテレビTWOという有料放送チャンネルでも放送されたのですが、そこでは時間の都合上カットされてしまった曲やMCも含む、ベイベー男子待望の完全版となっております。

あ、前提として、及川光博さんは毎年全国ツアーを行っていると同時に、毎年そのライブ映像のDVD(BD)化もしているのです。コンスタントな活動、それだけでも大変なはずなのに、合間には俳優としてドラマにも出ている*4という、とにかくすごい人だと思います。(語彙力)

 

さて、ということで本日はBD/DVD発売を記念しまして、収録曲の中から一曲ご紹介したいと思います。

そもそもですが、この「SOUL TRAVELER」ツアーは、2020年3月18日に発売されたアルバム『BE MY ONE』をひっさげてのツアーでした。現在、ベスト盤を除けば最新のアルバムです。これをベースとして、世界観のマッチした過去の曲や、もちろんライブ定番曲も演奏されたわけですが、今回はせっかくなのでそのアルバムのほうから、こちらの曲をどうぞ。

 

Q.I.D./及川光博

LINE MUSIC

Q.I.D.

Q.I.D.

 

なぜこの曲を選んだかといいますと、ひとつは、ライブで一番盛り上がった*5といっても過言ではないくらいのキー曲だから、そしてもうひとつは、ミッチーさんの真骨頂、キラキラファンクだからです。

 

はい、そもそもファンクとはなんでしょうか。

お恥ずかしながら私も最初、「あー、ファンクね」という態度をとりつつ、何がファンクなのかファンクってどれのことなのか、ぜんぜんわかってませんでした。

知ってるよ大好きだよという人には申し訳ないのですが、私のような人のために一旦解説いたします。

ファンクとは音楽ジャンルのひとつで、いわゆる「ブラックミュージック」という、黒人の方々発祥のものです。力強いリズム、グルーヴ感が特徴で、ダンスミュージックや後のロックにも影響を与えた、とのことです。

第一人者として、ジェームス・ブラウン(James Brown)、通称JBという大スターがいたのですが、ミッチーさんも彼の影響を受けた(また、JBの影響を受けたプリンスやマイケル・ジャクソンの影響も)と公言しています。

具体的な音使いとしては、チャキチャキしたギター、軽快にかつ大胆に刻むドラム、変態的なベース、そしてとにかく気持ちのいいホーン、といった感じでしょうか。その上にソウルフルなボーカルが乗っかっていくというわけです。

 

さて、そんなファンクミュージックが、我々にとって親しみやすいJ-POP風味と、そして今回のアルバムのコンセプト「近未来」を体現する「最新の洋楽サウンド」≒EDM系と混ざり合って生まれたのが、このキラキラファンクチューン「Q.I.D.」というわけです。

(プレスリリース及川光博、ニューアルバム「BE MY ONE」を3/18リリース決定 | BARKSを参照しています。なんと、こういったキャッチコピーまでご自身で考えられているんだとか。*6

 

作詞は及川光博、作編曲は大久保薫さんという、ハロプロ(ハロー!プロジェクト)などに楽曲提供されている方、またはアニソンで、ごちうさ(ご注文はうさぎですか?)のOP、♪こころぴょんぴょん待ち? を作曲された方と言ったほうが伝わる人もいるかもしれません。私自身後者はさっき調べてはじめて知ったのですが、飛び上がりました。そして極めつけは、なんと「夢をかなえてドラえもんの編曲も彼の仕事だそうで、いや本当に、めくるめく経歴ですね……!

そんなバケモノ作編曲家さんによる、「ファンク」というところが面白いです。ハロプロのほうはちょっとだけ聴いてみましたがやっぱりザ・ハロプロという感じの重低音響くサイバーなサウンドですし、アニソンはまた王道のポップでかわいらしい曲調ですからね。振れ幅といいますか、引き出しの多さといいますか、とにかくやっぱりすごいことです(だから語彙力)。

編曲家って途轍もなく大きな仕事*7をしているのに、全然クローズアップされない現状はおかしいと思うんですよ。インターネットの歌詞サイトはただちに作詞作曲の下に編曲の名前も載せるべきです。

 

と、話を戻しまして、ではまず音の面からの好きポイントをお伝えします。

 

まずは、出だしのギターカッティング。あの独特なチャキチャキした音が鳴る奏法です。ファンクたらしめている要素のひとつですね。「かっこいい!」という言葉がよく似合う部分ですが、マイケル・ジャクソンが意識されていることはなんとなく感じ取る人も多いでしょう。ライブのときの振り付けはまさにそれです。オマージュというやつですね。ダンサーズとコーラスのお姉さんとミッチーさんの4人のフォーメーション、バチバチにキマっていて、めちゃくちゃかっこよかったです。

次いでそこに乗っかってくるのはなんだか吹くのが難しそうな、でも聴いているとスカッとするホーンズ。トランペットのハリのある高音が効きまくっています。自分は一応軽くトロンボーン経験者なのですが、あのパラパラした音はどうやって出すのかわかりません。同じ楽器でも、ジャンルによって音色が違うんですよね。

そして大事なのが、ストリングスです。以前の記事でも書きましたが、あまり目立たなくても超重要な要素だと私は思っていて、このストリングスを入れるのは編曲家の代表的な大仕事です。主役には決してならなくても*8ただ突っ立っているわけにはいかない、悪目立ちしてはいけないけれど確かにそこに存在しなくてはならない、ドラマのエキストラみたいなものだと思っていただいていいと思います。そのためには、確かな知識とセンスが求められるわけです。そこでこの大久保薫氏のストリングス遣いが光りに光っています。個人的に一番素敵だなと思うのが、サビ前に(音高が)高いところから降りてきて、また昇っていく旋律です。これによって、いまからサビにいくよ! さあついてきて! というムードが高まるように思います。実はこれ、歌詞と連動しているんです。

 

ということで次に恒例、歌詞を見るコーナーですが、今回もすごいですよ。

みなさん、そもそもQ.I.D.ってなんのことだと思いますか。ちなみに読み方はそのままキューアイディーで大丈夫です。

答えは

求愛ダンスです。

キューアイダンス、です。

 

おやじお兄様ギャグ*9かよ、という反応が大多数ですが、個人的には一周回って発想がすごい、と思っちゃいます。JKにおじさんLINEがウケたのと同じような心理でしょうか。*10

さて、ということで答え合わせ的なサビの歌詞がこちら。

求愛ダンス 夜明けまで

奏でよう 二人のセレナーデ

今宵 誘い誘われて重ねる kiss and step

何度も抱きしめたい

エメラルドに輝くドレスで

踊りましょう trust my love

流れるようなメロディーに乗って流れるように歌詞が紡がれていく、とっても気持ちのよいサビだと感じます。

「エメラルド」は今回のツアーのテーマカラーであり、ドレスコードであり、実際にエメラルドに輝くドレスを身に纏ってコンサートホールで踊ったベイベーも多いでしょう。むしろ私もその一人です。ドレスなんて初めて買いました。でもそのぐらいのことを易々とさせてしまうのがミッチーさんのワンマンショーの魔法といいましょうか。

 

そして先ほど言ったサビ前の歌詞。

もう 心に嘘つけない

そろそろ覚悟を決めて おいで

(Be my one)

そう生まれ変われるのさ

理屈を超えていこう おいで

(Be my one)

一番と二番です。

Be my oneというサビに導くフレーズ、アルバムタイトル及び表題曲をそのまま持ってきているので、アルバムの中でも重要な立ち位置の曲だということが窺えます。

またサビもそうですが、ライブでの演奏を十分に意識されていますね。

ライブ会場という特異な空間で、なんだか楽しい音楽を浴びて、最後に「おいで」と言われればもう、未知の領域に行くことは必至です。

こんなご時世になる前、別のアーティストさんのライブに行っていたころの私は、盛り上げるための声を出すのがなかなかできなくて、最後のほうの、お客さんの掛け声が決まっている曲でやっと叫べるようになる、という感じだったのです。それが、今は、声こそ出せない、出してはならないものの、しっかりばっちりフルスロットルで踊っています。一人での参加で、人の目も気にせず。こんな私がいたなんて、という私です。これこそがミッチーさんの推奨する「自己解放」であり、間違いなく人生を豊かにしてくれると思います。

みなさんにもミッチーさんのライブでレッツ自己解放してほしい、なんてことは言いません。でも、夢中になれるものがあるか否かは、大切なことだと思います。

 

と、説教がしたいわけではまったくないので、それに、余計なお世話だちゃんとあるよそんなもの! という人もたくさんいらっしゃると思うので、最後に、最近感じた「コロナ禍のライブでお客さんが”参加”できる方法」について少々論じさせていただいて終わろうと思います。

というのも、先日大学で行われた文化祭で、私は軽音楽部のバンドでボーカルとしてステージに立ちました。そこでは教室の演者エリアとお客さんエリアの間にパーテーション的なものがあり、そりゃ感染対策としてあるのは仕方ないのですが、それがあまりにも透明度の足りない、歪みのあるビニール素材でできていたのです。結果、背後からの照明の反射も相俟って、なんだかぜんぜん客席が見えない、よくわからないという事象が発生したわけです。

このとき、私ははっきりと「怖さ」を知覚しました。

お客さんの反応がわからないという怖さ。高校でも軽音部でしたし、また小学校からおはやしをやっていたので、人前で演奏したり踊ったりということは今まで何度もしてきましたが、こんなことは初めてです。ここから、本当に誰もいない会場で無観客ライブに臨むプロのアーティストのことを想像してみると、今まで無観客ライブを積極的にやってほしいと思っていたファン心も、すっと冷えてしまいました。

これは演者の問題でもあり、お客さんの問題でもあると思います。

私が感じたあの怖さは、自分たちがどう見えているのかわからないことへの怖さでありながら、お客さんに楽しんでもらえていないかもしれないことへの怖さである、といえるでしょう。そしてお客さんの側も、どうやって楽しんだらいいか、どうやって楽しんでいることを伝えればいいか、困惑してしまう部分がきっとあると思うのです。

以前のライブであれば、大声で煽りに応えたり、MCに野次を飛ばしたり、またうちの大学がどうだったのかはわからないのですが場合によってはモッシュ(身体のぶつかり合い)をしたりして、楽しんだし、楽しんでいることが伝わっていたはずです。しかし、それらが禁じ手となった今、果たしてなにが使えるのでしょう。

私が考えて捻り出したのは、独特な手拍子のフレーズを、演奏に合わせてしてもらう、ということでした。(これがぼんやりやってくれている……かな……という風にしか見えなかったので困ってしまったわけですが)

ではミッチーさん、及びベイベー男子はどうしたのか。

答えは、光るタンバリン、そしてダンスでした。

 

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光るタンバリン

MITSUHIRO OIKAWA OFFICIAL GOODS WEB SHOPより拝借いたしました)

 

このタンバリン芸が、凄まじい威力を発揮したのです。

なんたって、手拍子なんかよりずっと大きな、しかもかわいい素敵な(ここに関しては耳障りだという人もいないではないので個人差ありますが)音が出るのです。声でのコール&レスポンスでもその柔軟性と即応性を遺憾なく発揮していたベイベーたちにとって、タンバリンを用いて感情表現することは容易いことだったようです。考えたミッチーさんも、応えたベイベーたちも、素晴らしいです。

 

そしてもうひとつ、ベイベーたちには声援だけではなく、ダンスという手段が大昔からあったのです。それはもう、ボディランゲージといえるでしょう。しかも、感染対策で収容率が50%、つまり、前後左右一席空き。いつになくひろびろ、のびのび踊れるということは、数少ないうれしかったことなのです。

サビに手のフリがついてるよ~、というようなことは、ジャニーズさんであったりとか、比較的やられていることかと思いますが、前奏や間奏とサビと、多くの曲に割としっかりした振り付けがあって、しかもかなりの大多数が踊っている、というのは珍しいのではないかと思います。

これはびっくりしていただけるかと思うのですが、なんと、実際のダンサーさんが直々に本物の振り付けを教えてくれる、というレッスン*11もあるんです。ダンスが好きなベイベーさんや向上心の強いベイベーさんたちがこぞって参加しています。ええお察しの通り私も9月10月の計4回のレッスンを受けましたよ! 「BE MY ONE」のむずかしい振り付けを踊れるようになりましたよ! 人に見せられるレベルかはさておき!

 

と、とっ散らかってきてしまいましたが、SOUL TRAVELERツアー成功の秘訣、拡大していけばニューノーマルなライブの仕方にせまることができたのではないでしょうか。

 

以上、ライブで盛り上がった曲・Q.I.D.の魅力と、それに付随してコロナ禍のライブについてのお話でした。

 

どうか長文に懲りず、また次の記事でよろしくお願いいたします。

 

ちゃお!

*1:界隈では5たす2でななさいとか言われてました、発想が天才すぎる。

*2:じゃあなにをやるのかっていうと、メインは過去のライブ映像をずーっと流してみんなでワイワイコメントしながら観る、という感じです。

*3:結局こっちも全く間に合わず……修行が足りませんね……。(泣)

*4:ちなみに今年のツアーは日曜劇場「ドラゴン桜」の撮影と同時進行でした。とある公演のMCで、深夜まで撮影をして、3、4時間睡眠で今日なんだと、学生時代の「徹夜で麻雀やったあと1限の体育出る」みたいな感じだと、仰っていました。その日は感情が爆発してしまったようで、泣きながらバラードを歌い上げてらっしゃいました。

*5:いや、ずーっと盛り上がってるんですけどね! 定番曲はもう間違いないですし、新曲もみんな1年間聴き込んだだけあってノリ方もばっちりです。なぜ1年間聴き込んだかというと、某ウィルスのために丸1年ツアーが延期になってしまったからです。2年ぶりの、やっと会えたね的なツアーでした。厳密には、一応ツアーの前に年末2daysはあったんですけども、遠方に住んでいたり年末は都合がつかなかったりで泣く泣く行けなかった方々もいますし、私は受験期まっしぐらでしたのでネット配信で参加しました。初の生配信とのことでした。

*6:及川光博 | 「XXV(ヴァンサンカン)」リリース記念スーパーロングインタビュー!-前編-より

*7:前奏や間奏を作ってるのはだいたい編曲家なんですって。飾りの音を入れるのはもちろんですが、ちょっとコードを変えてみるとか、とにかくその曲がその曲になるための一番大切な過程なんですね、私が思うに。焼けたスポンジとカットされたフルーツから、生クリームをぬってフルーツの配置を決めてときにはチョコやアラザンを足してみたりしてデコレーションケーキをつくり上げる人、みたいな。

*8:あっストリングスを主役にしているJ-POPももちろんそれはありますよ! それとは別の、曲に厚みを出すためのストリングスの使い方の話をここではしております。

*9:と、ライブBD/DVDの副音声コメンタリーで仰っていました。

*10:いつまでもJK気分でいるんじゃない。なんか、私未だに高校生料金のところ見ちゃったりするのですが、みなさんもう大学生になりました……? 私だけですかね取り残されてるのは……。

*11:以前は対面でそこそこの人数ダンススタジオに集まってやっていたようなのですが、まあ今はオンライン(Zoom)で実施されています。画面越しに教わる壁は、正直、高いです。でも先生も受講者さんたちも試行錯誤してやっています。